Category Archives: 法律のこと

アメリカで車の事故を起こした!どうする?(現場での対処)

最近、車の事故に関するご相談が多かったので、いくつかに分けて、アメリカで事故を起こした際の注意事項と弁護士の役割などについて書いてみたいと思います。

車同士、車と自転車、車と人など、すべて法的な人身事故の分野に入ります。
今回は、人身事故の中でも自動車事故の現場の対処方法についてお話しさせて頂きたいと思います。

日本など他の国と違って、アメリカでは小さな事故の場合は警察が来てくれない事が多いです。例え、警察が来てくれたとしても、何もせず去っていく場合もあります。
そんな時に、事故の現場で何をしなければいけないのでしょうか。
答えは「情報交換をする」です。ほとんどの方がそれはご存知だと思います。
では、どんな情報を交換・収集すべきなのか。
相手の名前、住所、電話番号(自宅、会社、携帯)、車の所有者の名前、その所有者の住所・電話番号、相手の車の車種、車体番号、相手の保険会社名と保険番号、目撃者の名前、その目撃者の電話番号。
これらの情報をできる限り取得してください。
スマートフォンなど携帯電話が発達している今、相手の免許証や保険ポリシーのページの写真を撮るのが一番便利で確実です。

この次に現場で必ずして頂きたいのが、「事故現場の写真を撮る」事です。
ここでもカメラ付きの携帯が大変役立ちます。
事故現場の状況や、事故後の車の状態を色んな角度から写真に収めてください。
事故が自分のせいだと素直に認めない人が多いですが、写真さえあれば、経験のある保険会社や弁護士は、事故の責任が誰にあるのかを大体判明することができます。
ですので、相手が責任を認めなかったり、変な言い訳をして議論してきたとしても、必要な情報を交換し、現場の写真を撮り終えたら、その場を立ち去っても構いません。

大事故で車が走れない状態になった、相手が飲酒運転だった、逃げ去った、怪我人がいるというような場合は、必ず速やかに警察に電話をしてください。
警察が来て取り調べをしてくれた場合には、前述したような情報交換をする必要はありません。

次回は、車の修理や医療費など、保険にまつわるお話をさせて頂きます。

宗教移民の永住権の手続き

永住権(Green card)を取得する条件には、色々なものがありますが、本日は特別な移民として知られている宗教関係者の申請について説明したいと思います。

宗教移民の申請者は、以下の条件を満たしている必要があります。
(1)申請する前に少なくとも2年間は宗教活動に参加しており、その宗教団体はアメリカで支部を持ち、活動していること。
(2)宗教活動に参加していた2年間の中で、申請者はその宗教の聖職者を務めていること。つまり、その宗教の伝教などに関わる仕事をしており、且つ、上層部にいる役職であることが必要とされます。尚、申請者はアメリカに来てからも同じ職に就かなければなりません。

場合により、仏教の大学や他の神学校で宗教について勉強していたことが認められる事があります。

申請には、I-360フォーム(請願書)と所属している宗教団体に永住権を申請する資格があることを証明する書類が必要です。
このランクで年間5000人のGreen Cardの枠が設けられています。

以上の条件を満たさない人たちは、4年間有効のR Visaを取得すれば、アメリカで宗教活動をすることが許されています。
子供と配偶者はR-2ビザを申請することができます。

H-1bで解雇されたら・・・

今回は、米国のH1-Bビザを保持していて、ある日突然、解雇された場合、いつまでアメリカに滞在することができるかについてお話したいと思います。

解雇は、移民法上ではH1-Bを失うことを意味します。猶予期間あるいはグレースピリオドなどという言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、実際のところ移民法にそのような期間は定められていません。
しかし、移民局はステータスを失ってからの30-60日内でしたら、他のステータスへの移行を認めてくれる場合があります。但し、認めてくれる「場合がある」だけで、保障はされておりません。
そしてこの手続きは、まさに時間との勝負となります。

前述した通り、法的観点ではH1-Bは解雇されたすぐ後に効力がなくなります。
米国移民局(USCIS)が審査を行う際、一般的に2つの日付を元に失効日を決定する事が多いようです。
一つは給料が発生しなくなった日で、もう一つは最後の給料が支払われる日です。
どちらの日付が採用されるかは、審査官により異なります。

ここで一つ特筆しておきたいのが、この解雇について、移民局は会社から通知がない限り、その事実を知ることができません。
つまり、会社次第で実際の解雇日と報告する解雇日を調整することも可能なのです。
実際に当事務所でも、HR(人事部担当)や関係者に交渉を行い、いくつものケースで、ステータス変更の準備期間を延ばす事に成功しております。

次に、解雇された後に何ができるかについてお話してみたいと思います。

1)履歴書を出し、H1-Bを移行できる会社を探す

2)もし結婚していて、配偶者がF1(学生ビザ)、H1-Bなどのステータスを保持している場合、F2、H4などの配偶者のステータスに変換するための申請を行う

3)F1に変換が可能か学校に連絡し、可能な場合申請を行う

4)米国市民と結婚することで、グリーンカードを申請する(I-130とI-485の提出)

5)Eビザ(投資家ビザ)の申請を行う

6)B-1 / B-2ビザ(観光/短期ビジネス)の申請を行う。但しこれは短期の策で、時間を稼ぐだけの方法になります。

繰り返しますが、法律上で解雇後はすぐさまステータスを失うことになりますので、早急に弁護士と相談することをお勧めします。

オバマ新移民政策 ーアップデート情報3

4月17日金曜日の特別公聴会の結果が発表されました。
公聴会に参加した3人の裁判官は、2対1でオバマ大統領側の要請を却下し、不法滞在者にとっては非常に残念な結果となりました。

しかしながら、これですべてが終了したわけではありません。
連邦上訴裁判所は特別公聴会の結果に関わらず、7月から本件の裁判プロセスを開始することを発表しました。
また、特別公聴会に参加した裁判官のうち一人は、「どんな結果が出ようとも、このケースはアメリカの最高裁に行くだろう」と述べました。

今後もこのケースの動向に注目していきたいと思います。

前回の記事はこちら
オバマ新移民政策 ーアップデート情報2

アメリカ入国時の持ち込み額の申告について (FinCEN 105)

米国に持ち込む金額に制限はありません。
しかし、1万ドル以上を持ち込む場合、アメリカ政府に申告しなければなりません。
その際にFinCEN 105(通貨の国際輸送や金融政策手段の報告書)を記入し提出する必要があります。
もしFinCENの記入方法がわからなくても、税関国境警備局(CBP)役員が記入を手伝ってくれます。

一緒に旅行をする人/家族が1万ドル以上を持っていて、申告を避けるために二人で分割して、例えば1人が5000ドルを所持し、もう一人が6000ドルを所持していても、合計で11,000ドルと見なされます。
このような場合にも、FinCEN 105でそれを報告しなかったり、出所を説明することができなければ、没収の対象とされ、民事および刑事罪になる可能性がありますのでご注意ください。

FinCEN Form 105はFinCENのサイトから入手が可能です。
http://www.fincen.gov/forms/bsa_forms/

この報告書は空港でも手に入れることができますが、
ご旅行前に予め用意しておくことをお勧めします。

オバマ新移民政策 ーアップデート情報2

4月17日金曜日に連邦上訴裁判所はバラク・オバマ大統領の新しい移民政策、即ち不法滞在の移民たちに労働許可を与える政策に関して、特別公聴会を開催しました。
前回の記事で紹介したように、オバマ大統領の新移民政策は、現在、テキサスの連邦裁判官の命令によって停止されている状態です。その停止命令を取り下げ、新しい移民政策を速やかに施行することを上訴したためです。

その公聴会で司法省(オバマ側)は、テキサス州は司法権を持っていないと主張しました。アメリカ憲法上で移民に関する決定権は連邦政府に与えられた権利であって、州にはそれがなく、停止命令を出すこと自体が間違いであると議論しています。
それに対してテキサス州は、今回の移民政策を施行すれば、連邦だけで解決するものではなく、州にとっても財政的な負担が生じる事から、州の言い分も聞き入れられるべきということで反論しました。

出席していた3名の裁判官たちは、判決を出すには少し時間が必要であると判断し、今回の上訴の結果は後日発表されることとなりました。

前回の記事はこちら
オバマ新移民政策 ーアップデート情報

グリーンカードの取得が3ヶ月で!

移民局が新しいグーリンカードの時間表を発表しました。
日本籍の人たちのスピードがかなり上がっています!
現時点で、大学卒のPriority date(優先日)が2015年1月1日まで迫っています。
Priority dateはI-140の受付日で決まりますが、つまり、大卒でも、約3ヶ月でグーリンカードを取得できるということになります。

この数年間の中で最速です。
またこれは、歴史上でもまれに見ない速さです。

少し前までは、何年も待たされていたグリーンカードの取得がここまで早くなると、人生設計もしやすくなりますね。

<Department of stateのVisa Bullutinより>
priority date

オバマ新移民政策 ーアップデート情報

テキサス州の連邦判事より、26州からの反対を集めているバラク•オバマ大統領の移民上の執行行動をブロックする命令が、2015年の2月に出されました。

米国地方裁判所判事アンドリューは、オバマの行政命令の施行を遅らせる理由として、大統領がアクションをとる前に、より早い通知と長いコメント期間を世間に与えなければならないという行政手続法に違反したとを判決し、オバマ大統領の移民政策の行動は一時的に停止させられました。

一旦出してしまうと、「ジニーを瓶に戻すことは不可能だろう」と裁判官は自分の判決文にそう書いています。もし何百万人もの不法滞在者をが合法化にすれば、事実上不可逆的な結果になると、裁判官は判断しました。それゆえに一時的に停止命令を出されたということです。

オバマ政権は、その判決に対して上訴をしました。
上訴裁判所(Court of Appeal)は、バラク•オバマ大統領の移民執行アクションの一時保留が解除されるべきであるかどうかの裁判日は、4月17日に設定されていると発表しています。

それと同時に、他の州でも法的な手続きで何とかオバマの移民改正を阻止できないかどうかを検討しています。
任期がもう2年しか残ってないオバマにとっては、彼の任期内でこの政策を合法にしなければ、次期大統領にすべて破棄されてしまう可能性が高いということから、これからも積極的に行動をとっていくと予想されています。

なお、保守派にとっても、時間を稼げば、結果的に勝ちになる可能性が高いと認識しているので、アメリカの最高裁まで上訴すると見られています。

前回の記事はこちら
オバマ新移民政策

2015年H1-bビザ 受付上限到達

移民サービス(USCIS)は、2015年度のH-1B一般枠(学士取得者)の上限である65000件に到達したため、受付を終了したと発表しました。
USCISは、受付を開始した4月1日からの五日間のうちで約172,500の H-1Bの申請を受けました。
ちなみに、2014年は124,000件の申請がきていたとのことなので、外国人の雇用が増加傾向にあるようです。

ワシントンによると、移民研究の移民政策研究所(移行政策研究所)のインタビューで、今年のH-1Bビザの抽選は、歴史上最も難しい抽選になるかもしれないとのことでした。
この枠のビザ取得の成功率は30%前後だと予想されており、修士号以上だと60%だと予想されています。

オバマ新移民政策

先日、オバマ大統領が新しい移民政策を発表し、当事務所でもかなりの数のお問い合わせがありましたので、その条件やプロセスを少し説明してみたいと思います。

Q1. 簡単に言うと?
A. 今回の政策は法律ではなく、大統領命令です。アメリカの憲法の下で、大統領は行政命令を作成する権利があります。
しかし、大統領命令は次期大統領の延長がなければ、効力がなくなります。

Q2. 条件は?
A. (1)アメリカで不法滞在している者であること、しかもその滞在期間が5年を超えている。
  (2)その者はアメリカの市民権あるいはグリーンカードを持つ子供がいること。

Q3. 申請できるのは?
A. 労働許可

Q4. 手続き方法は?
A. 今のところ、移民局からの正式的な発表はまだありませんが、移民の弁護士の間で予想しているのは、現行法のI-765と同じようなフォームです。

Q5. いつから申請できるのか?
A. また発表されていませんが、2015年の春頃だと予想されています。

Q6. グリーンカードも取れるのか?
A. 大統領の命令には色々な限界があります。グリーンカードは移民法によって定められたものであって、大統領命令だけでは、グリーンカードを発行させるかどうかの権限がありません。
つまり、残念ながら今回の政策はステータスを得る永久的な解決策とはなりません。
ただし、もし国会が今回の政策に合わせて、もっと完全な移民法の改正を打ち出した場合、当然グリーンカードに繋がっていくこともあり得ない話ではありません。

今回の改正を、ただ労働許可を得るだけのものだと考える人もいるかもしれませんが、その本当の意味は労働許可を取ることによって、その者が強制送還の対象から外されることであります。
つまり、ある意味でアメリカ政府はその者たちの在住を許可するということです。

いつか逮捕され、強制送還されることを日々恐れながら暮らしていた人たちにとっては、人生の転機とも言える重大な出来事となることでしょう。