カリフォルニア州法の下でテナント(賃借人)を立ち退かせるには時間がかかり、かなり複雑なプロセスとなっています。
このプロセスを、立ち退き訴訟「不法占有」(Eviction)と呼び、1ヶ月程かかると思っていいと思います。この訴訟で家主は「原告」となり、テナントは「被告」となります。
今回は、テナントを立ち退かせるために必要な手順を概説したいと思います。
1. 立ち退かせるための法的な理由をまとめ、テナントへの通知書を作成する
大家がテナントを立ち退かせるには、当然ながら正当な理由を持っている必要があります。その理由によって、テナントの立ち退きまでの猶予期間が違ってきます。猶予期間が分かったら、テナントに渡す通知の中で「(____)日以内に引越ししてください」というように日にちを記します。
立ち退きとなる理由と猶予期間の例:
A.家賃を支払わないこと(猶予:3日)
B.賃貸契約の条項に違反すること(猶予:状況によります)
C.違法な目的のためにプロパティを使用し、麻薬等不法物の製造または販売をしているか、使用していること(猶予:3日)
D.他のテナントに重大な迷惑を引き起こしたこと(猶予:状況によります)
E.また、単純に適切な通知を行うことにより、毎月借りているテナントを立ち退かせることができます(猶予:1年以上住んでいたテナントには60日前、一年未満のテナントに30日前の通知を行う)
F.大家が家を売りに出したこと(猶予:30日)
私の経験上、この通知がEvictionの中でもっとも大事なプロセスだと考えます。なぜなら、この知らせを渡さなければ、次の裁判所でのプロセスを起こすことはできませんし、裁判所のプロセスがある程度進んでから間違いに気づいた場合、裁判を取り下げて最初からやり直すしかありません。そうなると、裁判所の費用などをもう一度払わなければならなくなってしまうからです。
ここは是非慎重に準備してください。
2. 通知を渡す
通知は通常大家が直接テナントへ渡します。
テナントがその受け取りを拒否した場合、テナントの傍の地面にそれを置き残すことによって、渡す義務を果たすことができます。
直接渡すことが不可能な場合は、郵送や警察を雇うなど他の渡す方法もありますが、場合によってもっと複雑な方法を取らざるを得ない事もありますので、弁護士と相談することをお勧めします。
3. 裁判所のプロセス
上述した通知書と契約書のコピーを裁判所に提出し、受理された書類をテナントに渡します。この時原告が被告に書類を直接渡す事は出来ないので、要注意です。
普通の民事裁判では被告人が30日間のAnswer(異議の申し立て)の時間があるのに対して、この種の裁判ではテナントは5日しか異議を申し立てる時間がありません。
時間が過ぎれば、裁判所から強制的にテナントを追い出す命令が出されますので、その命令を警察に渡せば、命令を執行してくれます。
テナントが期日以内に申し立てをしてきた場合、公判期日が設定されます。裁判では、双方は証拠を提示し、自分のケースを説明する必要があるので、できるだけ多くの資料を収集することが成功につながります。
4. 立ち退き以外に請求できるもの
テナントに対して、未払いの家賃と裁判所の費用など請求することができます。たとえ、テナントが既に立ち退いた後でも、これらの費用を請求することが法的に許されています。