2015年9月9日、国務省(DOS)は、米国移民局(USCIS)に提出される移民ビザの処理に影響を与える、申請手続きの劇的な調整を発表しました。
この改正は、Priority dateの待ち時間が長い人たちにとって、これまでと比べると大変好ましい方向に作用することになります。
<<今までのGreen card申請>>=========
まず従来のプロセスを説明すると、雇用でGreen Cardを申請する場合、まずI-140という書類を移民局に出します。それが受理された日をPriority Dateと呼び、これが順番待ちの日にちとなります。
Green Cardを取得するために最終的にはI-485という書類を提出しなければなりませんが、それが出せるようになるのが自分のPriority Dateに順番が回ってきた時となるわけです。この順番は、移民局から発表されることになっています。
そもそもこのPriority dateが何を意味しているかというと、アメリカでは毎年Green cardを交付してよいとされている移民の人数が決まっています。つまり、Priority dateが回ってきた人たちは、その年に交付してよい人数のうちに入っている人たちということになります。
実際カードを受け取るまでにはまだ少し時間がかかりますが、もうGreen cardを取得したのと同じような状態です。
Priority dateを待っている間、他のビザ(たとえば、労働ビザH-1Bなど)を維持し続けなければなりませんが、こうして順番が回ってきた申請者は、I-485を提出後Green Cardを取得するまでの間、労働許可や渡航許可を申請することができます。
但しここで注意しなければならないのが、もし子供が一緒に申請している場合、I-485を提出するまでに子供が21歳を超えてしまうと、その子供は申請ができなくなります(Aged Out)。また、雇用されている会社がそれまでに倒産してしまったというような場合も申請不可となってしまいます。
<<改正後のGreen card申請>>=========
では、今回の改正で一体何が変わるかと言いますと、Green cardを交付できる人数に達していない段階(従来で言うPriority dateが来ていない状態)で、I-485を提出する事ができるようになり、且つこれまでと同じく労働許可・渡航許可を申請する事ができます。
その出せるタイミングは、移民局から発表されますが、実際に交付可となる日より確実に早く提出ができます。
<<改正後の利点>>=========
長々と説明させて頂きましたが、要するに、今回の改正によって、前述した「子供が21歳を超えてしまう」とか「会社が倒産・・・」などといった問題を回避しやすく、またビザを維持し続けなければならない期間が短縮されるという大きな利点があるわけです。
現時点でGreen Cardの申請の処理は、史上稀を見ない速さで進められていますが、オバマ大統領の任期が終われば、つい1年程前にそうだったように5~6年待ちに戻るだろうとの予想です。
そうなれば、より一層今回の改正が多くの申請者にとって有難いものになる事でしょう。
毎年のGreen Cardを出せる数は移民法によって数を制限されており、オバマ大統領としてもそれを増やすことができませんが、この改正は彼の権限内で行われ、2015年10月から実行に移されます。尚、この改正は家族ベースの申請にも適用されます。
移民局のPriority Dateを発表しているチャートをビザブリテン(visa bulletin)と呼びますが、この見方は次のブログ更新時に紹介してみたいと思います。