Category Archives: 法律のこと

オバマ新移民政策 ーアップデート情報5

オバマ大統領の不法滞在者に労働許可を発行する政策に関して、
アメリカの最高裁は1月19日に正式にケースを受理しました。

アメリカの最高裁判所が他の裁判所と決定的に違う部分は
最高裁判所には上訴されたケースを受理するかどうかを決める権利があるということです。
つまり、上訴を受け入れるかどうかは最高裁判所次第ということになるので、
今回ケースが受理され、まずは一歩前進したということになります。

現時点で、オバマ大統領の任期はあと一年しか残っていませんので、
任期内に勝訴する事ができれば、オバマ大統領は速やかに労働許可を発行すると考えられています。

最高裁判所の発表では今年の4月にこのケースの口頭弁論を聴聞し、
6月に判決を出す予定になっていますが、
具体的な日程はまだ発表されていません。

前回の記事はこちら
オバマ新移民政策 ーアップデート情報4

ビザブリテンの見方(家族ベースの申請の場合)

前回の投稿では、雇用ベースの永住権申請の場合のビザブリテンの見方を説明させて頂きましたが、今回は家族関係の分類(親子、姉妹、兄弟等)の見方をご紹介したいと思います。

ビザブリテン(Visa Bulletin)は、グリーンカードの優先順位を伝える情報表で、自分のPriority Dateがこの表に記載されており、毎月国務省により公開されていることも前回お話しました。
この表は以下のページより確認することができます。http://travel.state.gov/content/visas/en/law-and-policy/bulletin.html
※URLが変更になる場合がありますので、予めご了承ください。

家族ベースで申請している場合は、Family-sponsoredと書いている表を見ましょう。
表の一番左側の欄が家族関係で分けられていますので、ご自分に当てはまるものを探してください。

以下分類の詳細です。

First: (F1) アメリカ市民の息子または娘で未婚

A. (F2A) グリーンカード所持者の配偶者または息子と娘

B. (F2B) グリーンカード所持者の息子と娘で21歳以上且つ未婚

Third: (F3) アメリカ市民の息子または娘で既婚

Fourth: (F4) 成人した(21歳以上の)アメリカ市民の兄弟

お気づきの方もいるかと思いますが、申請の資格があるのに、一部ここに掲載されていないImmediate Relatives(直近の血縁関係の家族)がいます。
アメリカ市民の配偶者、アメリカ市民の21歳未満の子供、アメリカ市民の両親(その市民は21歳以上)、アメリカ市民の養子がこれにあたりますが、これらに当てはまるケースは申請後の待ち時間がありません。

以下は、2015年12月に実際に公開されたビザブリテンです。
「グリーンカードを所持している配偶者を持つ」「日本」人の場合を例にあげてみたいと思います。
「F2A」の列で、日本人の欄(All Chargeability Areas Except Those Listed)の行が、対象となる方達のその月のPriority dateです。
「15JUN14」と記載されておりますが、これは2014年6月15日という意味で、Priority dateがその日付以前の方達に順番が回ってきているということになります。

Visa Bulletin_family sponsored

いかがでしたでしょうか?
家族ベースでどのようなケースに申請資格があるかは、オフィシャルサイトの方でも紹介していますので、是非ご参照ください。
>>紹介ページはこちら<<

オバマ新移民政策 ーアップデート情報4

11月9日、第五米国連邦裁判所の裁判官3人は、2-1でオバマ大統領の不法滞在者に労働許可を発行する政策の施行禁止令を維持するという事を決定しました。本裁判は残っていますが、裁判所が禁止命令を維持するということを決定している以上、オバマ大統領はこの件で勝ちぬける可能性がほぼ消えてしまいました。

負けたとはいえ、幸いにもこの判決がかなり早い段階で出されたことで、アメリカの最高裁判所に上訴する時間の余裕をオバマ政権に与えました。今回の政策は大統領命令の下で進められてきたので、次期大統領に変わってしまえば、上訴されない可能性も大きかったのですが、この時間の余裕ができたおかげで、オバマ大統領の任期中に上訴が可能となるでしょう。

オバマ大統領は、早速、最高裁判所に上訴することを発表しており、その裁判は来年の夏に行われることが見込まれております。つまり、彼の任期内に今回の移民政策を実際に施行できるかどうかが決定されることになります。

施行することになれば、およそ500万人を上回る不法移民者に労働許可を出すことになります。そうなった場合、その500万人は強制送還の対象から外されることになります。

前回の記事はこちら
オバマ新移民政策 ーアップデート情報3

Eviction-テナントを立ち退きさせるための大家さんのガイド

カリフォルニア州法の下でテナント(賃借人)を立ち退かせるには時間がかかり、かなり複雑なプロセスとなっています。
このプロセスを、立ち退き訴訟「不法占有」(Eviction)と呼び、1ヶ月程かかると思っていいと思います。この訴訟で家主は「原告」となり、テナントは「被告」となります。
今回は、テナントを立ち退かせるために必要な手順を概説したいと思います。

1. 立ち退かせるための法的な理由をまとめ、テナントへの通知書を作成する
大家がテナントを立ち退かせるには、当然ながら正当な理由を持っている必要があります。その理由によって、テナントの立ち退きまでの猶予期間が違ってきます。猶予期間が分かったら、テナントに渡す通知の中で「(____)日以内に引越ししてください」というように日にちを記します。

立ち退きとなる理由と猶予期間の例:

A.家賃を支払わないこと(猶予:3日)

B.賃貸契約の条項に違反すること(猶予:状況によります)

C.違法な目的のためにプロパティを使用し、麻薬等不法物の製造または販売をしているか、使用していること(猶予:3日)

D.他のテナントに重大な迷惑を引き起こしたこと(猶予:状況によります)

E.また、単純に適切な通知を行うことにより、毎月借りているテナントを立ち退かせることができます(猶予:1年以上住んでいたテナントには60日前、一年未満のテナントに30日前の通知を行う)

F.大家が家を売りに出したこと(猶予:30日)

私の経験上、この通知がEvictionの中でもっとも大事なプロセスだと考えます。なぜなら、この知らせを渡さなければ、次の裁判所でのプロセスを起こすことはできませんし、裁判所のプロセスがある程度進んでから間違いに気づいた場合、裁判を取り下げて最初からやり直すしかありません。そうなると、裁判所の費用などをもう一度払わなければならなくなってしまうからです。
ここは是非慎重に準備してください。

2. 通知を渡す
通知は通常大家が直接テナントへ渡します。
テナントがその受け取りを拒否した場合、テナントの傍の地面にそれを置き残すことによって、渡す義務を果たすことができます。

直接渡すことが不可能な場合は、郵送や警察を雇うなど他の渡す方法もありますが、場合によってもっと複雑な方法を取らざるを得ない事もありますので、弁護士と相談することをお勧めします。

3. 裁判所のプロセス
上述した通知書と契約書のコピーを裁判所に提出し、受理された書類をテナントに渡します。この時原告が被告に書類を直接渡す事は出来ないので、要注意です。
普通の民事裁判では被告人が30日間のAnswer(異議の申し立て)の時間があるのに対して、この種の裁判ではテナントは5日しか異議を申し立てる時間がありません。

時間が過ぎれば、裁判所から強制的にテナントを追い出す命令が出されますので、その命令を警察に渡せば、命令を執行してくれます。

テナントが期日以内に申し立てをしてきた場合、公判期日が設定されます。裁判では、双方は証拠を提示し、自分のケースを説明する必要があるので、できるだけ多くの資料を収集することが成功につながります。

4. 立ち退き以外に請求できるもの
テナントに対して、未払いの家賃と裁判所の費用など請求することができます。たとえ、テナントが既に立ち退いた後でも、これらの費用を請求することが法的に許されています。

ビザブリテンの見方

以前、こちらのブログにも書かせて頂きましたが、10月からグリーンカード申請の手続きの方法が一部改正となり、ビザブリテン(Visa Bulletin)にも変化がありましたが、本日はその見方をご紹介してみたいと思います。

まずビザブリテンとはそもそも何なのかと言いますと、グリーンカードの申請における優先順位を発表する表の事です。
この表は毎月、国務省により更新され公開されており、発表される優先順位は、I-140という書類が受理された日付(Priority date)によりつけられています。当然、そのDateが早い(古い)人程優先順位は高くなります。

では、この表のどこに自分のPriority dateが表示されるかですが、まずGreen Cardの申請方法でいくつかに分類されます。

家族(親子、姉妹、兄弟など)を通して申請した場合、そして学歴や雇用によって申請した場合で分けられ、後者は更に細かく分類されています。(EB-1:優れた能力を有する者、EB-2;大学院の資格かそれに見合う職歴を持つ者、EB-3:大卒かそれに見合う職歴、または特殊技術を持つ者)

以上は出身地(国) によっても更に分けられます。

本日は、申請方法で最も多い「雇用ベースで大卒の学歴を持つ」「日本」人の場合を例にあげてみたいと思います。

雇用ベースの場合は、Employment-Basedと記載されている表を見ましょう。
「3rd」の列で、日本人の欄(All Chargeability Areas Except Those Listed)の行が、対象となる方達のその月のPriority dateです。

以下は、先日発表された2015年11月分の表ですが、「01SEP15」と記載されています。
これは、2015年9月1日という意味で、Priority dateがその日付以前の方達に順番が回ってきているということになります。

Visa Bulletin

今11月なので、もし今日の日付でI-140が受理された方は、もしこのプロセススピードに変化がなければ、約2か月待てば書類の提出ができるだろうということも予測できます。
「C」はCurrentの意味で、待ち時間が全くない状態を指します。

この表はこちらのページで発表されています。
http://travel.state.gov/content/visas/en/law-and-policy/bulletin.html

※URLが変更になる場合がありますので、予めご了承ください。

Green Card(永住権)手続き改正その後

先日、Green Card申請にまつわる移民局の大きな改正を紹介させて頂きました。(詳細は以前の投稿を参照してください。)
移民局の発表では、中国、インド、メキシコなどのグリーンカードの申請速度が一番遅い国々が大幅に早くなると述べていたにも関わらず、10月に発表されたPriorityの日付を見ると、これらの国々の人たちに利益をもたらすことにはなっていませんでした。

この発表に激怒した人々は、全国集団訴訟を引き起こしました。起訴者の多くは、2015年11月ビザブリテン(10月9日公開)で状況を改善することを要求していましたが、残念ながら、11月の速報も移民局の最初の約束が守られる事はなく、やはりプロセス速度は遅い状態でした。
集団訴訟の原告は、翻訳して必要書類を入手し、健康診断を受けるなどのファイルの準備を移民局の発表に従って用意したのにも関わらず、その努力が全て無駄であったと述べ、起訴書の中に発生した費用やその他の被害を説明しました。しかも、健康診断などの書類の有効期間は180日にしか過ぎず、期間が過ぎてしまえば、再度診断を受けなければなりません。

今回、最終書類を出せるとみなされていて、結局出せなくなった人数は数万人に上る見込みです。しかし、今までの判例から考えると、起訴者たちの勝ち目はほぼないと考えられているようです。

2015年11月のビザブリテンは、このようになっていました。

Final Action Dates

Dates for filing

H-1Bトランスファー Q&A

当事務所で多く頂く労働ビザのトランスファーに関する質問をまとめてみました。

Q: H-1Bを新しい会社に移す(トランスファーする)ことはできますか?
A: できます。

Q: H-1Bのトランスファーは抽選になりますか?
A: いいえ。H-1Bのトランスファーは、既に抽選で当たって今現在所持しているH-1Bを他の会社に移す事になるため、抽選になりません。

Q: 何回トランスファーできますか?
A: 移民法の中でH-1Bをトランスファーする回数を制限する規定がありません。理論上ではH-1Bが有効であれば、何回でも移すことができます。ただ、費用や申請期間、有効期間などを考えると、何度もトランスファーすることは物理的には不可能です。

Q:H-1Bをトランスファーする際に、前の会社に知らせる必要はありますか?
A: 前の会社に知らせる必要はありません。また、前の会社は申請者の新しい仕事先などを調べる手段がありませんので、ばれて困るという心配はありません。

Q: トランスファーをして、移民局からもApproval(許可)をもらった後、後悔して、前の会社に残って仕事することはできますか?
A: できます。前の会社で続けて仕事することが許されています。

Q: H-1Bをトランスファーする際に前の会社からの収入証明書(Paystubs)をいくつ出せばいいですか?
A: 最近の2~3ヶ月分必要です。

Q: 雇用されてからまだ間もなく、収入証明(Paystubs)がまだない場合はどうすればいいですか?
A: その時に収入証明がまだ発行されていないという証明書を提出することができます。会社からもらえない場合は、自分の証言でも構いません。

Q: 今の会社と契約をしていて、後数年間はそこで働かなければいけませんが、H-1Bをトランスファーできますか?
A: これは移民法の問題ではありません。むしろ労働法や契約法の問題になります。移民局はH-1Bをトランスファーすることを許可すると思いますが、契約違反で会社に対してなんらかの弁償をする責任が出てくるかもしれません。

Q: H-1Bを日本で取得しましたが、一度もアメリカに来て働いたことがありません。期間がだいぶ経ってしまいましたが、アメリカで他の会社にトランスファーすることはできますか?
A: できます。アメリカでの新しい勤務先が見つかれば可能です。

ドナルド・トランプの間違い

大統領選挙に参加している不動産王のドナルド・トランプ氏(Donald Trump)が先日、彼の移民地位の文書を発表しました。移民はアメリカ人の仕事を横取りして、福祉を乱用し、アメリカ人の賃金を下げているといった話でしたが、彼のキャラクターからこの発言に誰も驚きもしなかった事でしょう。

彼の発表で間違っていた部分を移民政策アナリストのDavid Bier氏が指摘する興味深い文章がありましたので、紹介してみたいと思います。

誤った発表#1:アメリカにいる「移民の割合が史上最高である」

この主張は、真実とはほど遠いです。今日の移民率 (新しい永住者の米国の人口に対する割合)は、過去平均の半分で、しかも記録的な数字を残した20世紀初期の4分の1にしか満たされません。移民数の割合は増えつつありますが、それは前代未聞の移民の増加が原因ではなく、アメリカ人の空前の少子化により、移民の割合が増えているように見えています。

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誤った発表#2:「外国人労働者の流入は、アメリカの賃金を下げている」

新しい労働者が通常より高かったときに、所得すなわち賃金も高い割合で上昇しました。 1981年から33年間、1981年以前に比べて、新しい労働者の伸びははるかに低いレベルになっています。それにより、賃金の増加も低いレベルになっています。労働力が増加すると賃金が下落するというのは事実ではありません。

誤った発表#3:「賃金をあげ、10代の若者を仕事に就かせるためにも、アメリカは低収入の移民の入国をコントロールする必要がある」

トランプの議論は、高校の学歴のない移民は所得を停滞させ、高卒のアメリカ人から低レベルの仕事を奪い、高校生の年のアメリカ人を無職に追い込んでいます。

1981年から大卒の学歴を持たない労働者の数は、移民・アメリカ人共に減少傾向にあります。1981年以降はその割合は16%しかなく、それ以前より34%減少しています。つもり、そういう仕事の競争率はアメリカ人の失業率と直接な関係が見られません。そもそもが、高卒やそれ以下の労働者の割合が30年前に比べて少なくなっています。

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誤った発表#4:「H-1Bビザは、失業を増加させる」

以下の表で示しているように、Computer関連の仕事ではH-1Bは失業率とまったく無関係です。もし、アメリカ人を雇わない代わりにH-1bビザの移民を雇っていた場合、H-1bの労働者が増えるのに合わせて失業者が増えるはずですが、真逆となっているので、この業種ではステータスに関係なく雇用を行っているということになります。

2015,0904-pic4

参照元サイト: The leading immigration law publisher

Green card(永住権)手続きの改正

2015年9月9日、国務省(DOS)は、米国移民局(USCIS)に提出される移民ビザの処理に影響を与える、申請手続きの劇的な調整を発表しました。
この改正は、Priority dateの待ち時間が長い人たちにとって、これまでと比べると大変好ましい方向に作用することになります。

<<今までのGreen card申請>>=========
まず従来のプロセスを説明すると、雇用でGreen Cardを申請する場合、まずI-140という書類を移民局に出します。それが受理された日をPriority Dateと呼び、これが順番待ちの日にちとなります。
Green Cardを取得するために最終的にはI-485という書類を提出しなければなりませんが、それが出せるようになるのが自分のPriority Dateに順番が回ってきた時となるわけです。この順番は、移民局から発表されることになっています。

そもそもこのPriority dateが何を意味しているかというと、アメリカでは毎年Green cardを交付してよいとされている移民の人数が決まっています。つまり、Priority dateが回ってきた人たちは、その年に交付してよい人数のうちに入っている人たちということになります。
実際カードを受け取るまでにはまだ少し時間がかかりますが、もうGreen cardを取得したのと同じような状態です。

Priority dateを待っている間、他のビザ(たとえば、労働ビザH-1Bなど)を維持し続けなければなりませんが、こうして順番が回ってきた申請者は、I-485を提出後Green Cardを取得するまでの間、労働許可や渡航許可を申請することができます。
但しここで注意しなければならないのが、もし子供が一緒に申請している場合、I-485を提出するまでに子供が21歳を超えてしまうと、その子供は申請ができなくなります(Aged Out)。また、雇用されている会社がそれまでに倒産してしまったというような場合も申請不可となってしまいます。

<<改正後のGreen card申請>>=========
では、今回の改正で一体何が変わるかと言いますと、Green cardを交付できる人数に達していない段階(従来で言うPriority dateが来ていない状態)で、I-485を提出する事ができるようになり、且つこれまでと同じく労働許可・渡航許可を申請する事ができます。
その出せるタイミングは、移民局から発表されますが、実際に交付可となる日より確実に早く提出ができます。

<<改正後の利点>>=========
長々と説明させて頂きましたが、要するに、今回の改正によって、前述した「子供が21歳を超えてしまう」とか「会社が倒産・・・」などといった問題を回避しやすく、またビザを維持し続けなければならない期間が短縮されるという大きな利点があるわけです。

現時点でGreen Cardの申請の処理は、史上稀を見ない速さで進められていますが、オバマ大統領の任期が終われば、つい1年程前にそうだったように5~6年待ちに戻るだろうとの予想です。
そうなれば、より一層今回の改正が多くの申請者にとって有難いものになる事でしょう。

毎年のGreen Cardを出せる数は移民法によって数を制限されており、オバマ大統領としてもそれを増やすことができませんが、この改正は彼の権限内で行われ、2015年10月から実行に移されます。尚、この改正は家族ベースの申請にも適用されます。

移民局のPriority Dateを発表しているチャートをビザブリテン(visa bulletin)と呼びますが、この見方は次のブログ更新時に紹介してみたいと思います。

アメリカで車の事故を起こした!どうする?(保険の種類)

前回に引き続き、自動車事故に関してお話したいと思います。
今回は、保険についてです。

まず、保険の種類を理解する必要があります。
保険は大体二つの種類に分けられます。一つはLiability Only(対人と対物のみ)ともう一つはFull Coverage(全保険)があります。
いずれの場合にも、弁護士を雇わない場合は速やかに自分の保険会社に事故を報告してください。

==Liability Only(対人と対物のみ)==
このタイプの保険は、その事故が自分の責任であった場合に、相手の損失に対して弁償してくれる保険です。自分に責任があってもなくても、自分の車の修理や医療費はカバーされません。
もし相手の責任であれば、相手の保険で自分の車を直すことができますが、先方の保険会社が責任を認めるまでの間、あるいはその責任について取り調べている間には、修理をしてくれません。つまり、一刻も早く相手の保険会社に証拠を出し、責任を認めさせないと自分の車の修理がなかなかできないということです。
ちなみに保険会社は、ある程度の期間は事故の責任の取調べをする事が法的に許されてますが、故意にその時間を延ばしたりすることは禁じられてます。

==Full Coverage(全保険)==
このタイプの保険でしたら、自分の車を自分の保険で直すことができます。
ご相談でよく質問されるのが、「自分の保険を使ったら、保険代があがるのではないか?」という事なのですが、もしその事故がご自分の責任ではない場合は、保険代をあげることが法律で禁じられていますので、そのような事はありません。
通常このタイプの保険にはDeductibleというものがあります。これは保険給付前の控除額のことで、その額に達するまでは自分負担になります。
例えば、Deductibleが1000ドルの保険に入っていて、修理費が1500ドルとなった場合は、1000ドルを自己負担し、残りの500ドルは保険で支払うことになります。
Deductibleの額は買う保険の種類により異なり、その額が低ければ、保険代が高くなる仕組みになっています。

弁護士を雇う場合は、保険会社への事故の報告から、その後のやり取りなど、この段階の処理全てを任せることができます。

次回は、実際に保険会社に請求できる事項について書かせて頂く予定です。

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